
1925年8月25日フランス オーヴェルニュ生まれ。父は木材業者。画家を志し、パリに出て工芸学校ボザールで学ぶ。絵を描き続け、展覧会に出品すると同時に、映画にも興味を持ち始め、1950年にはカメラを購入してアマチュアの短篇映画を撮り始める。短篇ドキュメンタリー「L’Amour exist」(60)で監督としてデビューを果たし、68年、長篇劇映画「裸の幼年時代」がヴェネツィア映画祭に正式出品される。その後、ジェラール・ドパルデュー、イザベル・ユペールというスターの共演による「ルル」(80)、天才的新人女優サンドリーヌ・ボネールを見出した『愛の記念に』(83)などを発表。87年、再びドパルデューを主演にしたベルナノス原作『悪魔の陽の下に』で、カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞。このとき、授賞式での客席からのブーイングを受け、「あなた方が私を嫌うなら、私もあなた方が嫌いだ」と言い放ち、トロフィーを高々と掲げた、というエピソードは、今もフランス映画界で語り草となっている。91年にはピアラが敬愛してやまない画家をモデルとした『ヴァン・ゴッホ』を発表。2003年1月11日、腎臓疾患によりその生涯を閉じる。享年77歳。2013年2月は没後10年にあたり、パリ・シネマテーク・フランセーズにて「モーリス・ピアラ 画家にして映画作家」と題した大規模な回顧展が開催されるなど、その偉大さを再評価する気運が高まっている。