相次ぐテロリズムにより、イタリアが社会的、政治的混乱にあった「鉛の時代」。1978年3月のある朝、キリスト教民主党党首で、元首相のアルド・モーロが、極左グループ「赤い旅団」に誘拐される、という、イタリアのみならず、全世界をゆるがす事件が起こる。
内務大臣コッシーガや教皇パウロ6世、そしてモーロの妻 エレオノーラらが、モーロを解放させようと画策するのだが…。
『夜よ、こんにちは』(03)で同事件を「赤い旅団」側から描いたイタリアの巨匠マルコ・ベロッキオ監督が、「すでに語られた物語には戻らない」という自身のルールを破り、外側〈政府、法王、神父、警察、教授、妻、子供たち…、様々な立場で事件に関与した人々〉の視点を交えて、6エピソードからなる一大巨編として作り上げたのが本作である。
2022年カンヌ国際映画祭カンヌ・プレミア部門で上映された後、イタリアでは前編、後編に分けて劇場公開、その後国営放送RAIで放送されて高視聴率を記録。2023年ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞17部門にノミネートされ、ファブリツィオ・ジフーニ(『人間の値打ち』)は最優秀主演男優賞を受賞、その妻エレオノーラ役のマルゲリータ・ブイ(『3つの鍵』)と、教皇パウロ6世役のトニ・セルヴィッロ(『グレート・ビューティー/追憶のローマ』)はそれぞれ助演男女優賞にノミネートされ、その年のイタリア映画界を席巻する形となった。
史実とフィクションを交えた、その力強くも絢爛たる筆致で描かれるドラマは、340分という長さを全く感じさせず、観る者に大きなカタルシスを与えるに違いない。
1939年11月9日、イタリア・ピアチェンツァ生まれ。26歳にして『ポケットの中の握り拳』(65)で長編デビュー。2003年に、本作と同一テーマである赤い旅団によるアルド・モーロ事件を主題にした『夜よ、こんにちは』を発表、第60回ヴェネツィア国際映画祭にて特別個人貢献賞を受賞。その後、『甘き人生』(2017)がカンヌ国際映画祭監督週間のオープニング作品に選出、2019年には『シチリアーノ 裏切りの美学』がカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で 6部門受賞を果たす。2021年にカンヌ国際映画祭で名誉パルム・ドール賞を受賞。
※本作は前編(Ⅰ~Ⅲ)と後編(Ⅳ~Ⅵ)、各170分に分けての上映となります。
※8/23(金)以降の上映有無に関しては劇場HPをご確認ください。
都市 | 劇場名 | TEL | 公開日 |
---|
menu