空間、時間、そして人間の葛藤を巡る詩的宇宙の極致  高精細レストアで蘇る、映画の奇跡

ノスタルジア4K修復版

1.26(金)追憶と救済のロードショー

彼の映画の中では人類の不幸が映像の祝福によって中和されている。 そんな計算が成り立つのかと思いながら、やはりうっとりとしてスクリーンを見続ける。 池澤夏樹(作家・詩人)

崇高なる黙示録的映画体験。

旧ソ連映画界の巨匠にして現代映画に多大な影響を与え続ける不世出の映画作家、アンドレイ・タルコフスキー。
1962年に長篇1 作目となる『僕の村は戦場だった』を監督、ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞。1967 年にはロシアの伝説的な画家を描いた『アンドレイ・ルブリョフ』を完成させるが、歴史解釈をめぐってソ連当局の激しい批判を受け5年間の上映禁止を宣告される。だが一方で同作品は1969年のカンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞。その後も『惑星ソラリス』(1972) 、『鏡』(1975) 、『ストーカー』(1979)と映画史に傑出する作品を世に送り出し、世界的な評価を確立。しかしソ連国内の厳しい検閲は依然としてあり、はじめてソ連国外で製作された長篇第6作が『ノスタルジア』(1983)だ。イタリアで撮影された本作は、タルコフスキーが「祖国を離れたロシア人特有の精神状態=ノスタルジアを描きたかった」と述懐した作品である。

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タルコフスキーによる詩的宇宙の極致が、 高精細の4K修復によって、今、蘇る。

中世からルネサンス期のフレスコ絵画と近代美術が一体化したような美しい映像に、監督の父アルセーニイ・タルコフスキーの詩が読まれ、ヴェルディの「レクイエム」やベートーヴェンの「第九交響曲」、そしてロシアの民族音楽が印象的に使用される。
水、火、光、闇――。陰影に富んだ映像と繊細な音響。空間、時間、そして人間の葛藤を巡る、タルコフスキーによる詩的宇宙の極致である。 今回公開となる『ノスタルジア 4K 修復版』は、2022年に撮影監督ジュゼッペ・ランチ監修のもと、ローマのチネテカ・ナチオナーレの協力で4K修復され、ボローニャ復元映画祭2022でワールドプレミアされたもの。今、蘇る、映画の奇跡。

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STORY

イタリア中部トスカーナ地方、朝露にけむる田園風景に男と女が到着する。モスクワから来た詩人アンドレイ・ゴルチャコフと通訳のエウジェニア。ふたりは、ロシアの音楽家パヴェル・サスノフスキーの足跡を辿っていた。18世紀にイタリアを放浪し、農奴制が敷かれた故国に戻り自死したサスノフスキーを追う旅。その旅も終りに近づく中、アンドレイは病に冒されていた。古の温泉地バーニョ・ヴィニョーニで、世界の終末が訪れたと信じるドメニコという男と出会う。やがてアンドレイは、世界の救済を求めていく…。

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